1週間の仕事が終わり、ゆっくりとしようと考えていた週末
近くのスーパーからの買い出しを終えて、玄関の扉を開けると
どう見てもうちには無いはずの男物のスニーカーがあった。


え… なんで? 誰がうちに?

ってか! そうでなくって! 

まさか! 泥棒?!


持っていたスーパーの袋を手から離し
足早に廊下を進み、波打つ心臓を抑えながらリビングのドアを開ける。


「杏!!」


目に飛び込んできたのは、杏の好きなゲームが映ったテレビと、
ラグに座った杏の背中と…見覚えあるジャージ。


え゛… な、なんで…?


「あ、桃子、おかえり」


「あ、おじゃましてまーす」



チラリと私の方を振り返った二人は一言言って、またテレビに向き直る。



はぁ……。



踏ん張っていた足から力が抜け、私は、その場にヘタリと座り込んでしまった。



あまりにも衝撃が大きかったのでその場を動けずにいた私の方を2人が同時に向いた。



「も、桃子??」



「あーんーずーーーっ!!」



桜木恭輔がいる、ということにも驚いたが、それは横に置いておいて、
よく知らない男性を家にあげたことを、こんこんと杏に注意した。