翌日、日曜なので学校で渡すことは出来ず

花村先生に電話で道を聞きながら先生が住んでいるアパートに向かった。


「ここか…」

何度か迷いつつ、やっと着いたアパートは、あまり綺麗と言えるものじゃなかった。


錆びた階段を上がり、『花村』と書かれたプレートを貼った家の前に立った。


「…よし」

わたしは一度深呼吸をして、呼び鈴を押した。


少し割れた音のチャイムが鳴り、中からパタパタと足音がした。

「はぁい。あ、秋葉…」

「おっ、おはようございます。
これ、お弁当です」

「ああ、ありがとう!
とりあえず入って。お茶入れる」

「は、はい」


家のなかは、思ったより片付いていた。

「適当なとこ、座ってて」


先生に言われ、わたしはテレビの前に腰を下ろした。

部屋を見回してみると、某野球チームのグッズが所狭しと並んでいる。


自宅も似たようなものだから、親近感が湧いた。



暫らく座っていると、ショートヘアの可愛らしい女の子が現れた。

どうやらこの子が沙世ちゃんのようだ。