美冬が心配してくれたこと…

それは、絶対に花村先生に知られてはいけないこと。



「……大丈夫」

わたしは小さく呟いて、家路に着いた。



翌日

わたしは気合いを入れて、ピンクのワンピースを着ていった。


待ち合わせ場所の駅で待っていると、肩を叩かれた。
もう、二、三回同じパターンでナンパをされている。

うんざりしながら振り替えると

「おはようございます。
中神先生」

爽やかな笑顔の花村先生が立っていた。


今日はこげ茶色の髪は無造作にセットされて

今流行りの格好をした花村先生は学校とはまた違ったかっこよさがある。


「ぉ、おはようございますっ」

「ははっ。元気ですねぇ。
校外で会うと、何か新鮮ですね」

「えぇ。何だか、変な気分です」


わたしは、花村先生が直視できず
俯きがちに言った。


「あの、敬語…やめませんか?
おれ…あ…ボク仕事場以外じゃ、年上も年下もタメ口なんで…」


花村先生は、頭を掻きながら言った。


「…わかりました。
じゃあ今日は、ありのままの自分でってことで」