「中神先生、明日暇ですか?」
「えっ?
…ひ…暇ですけど」
「よければ、ご飯食べに行きませんか?二人で。
今日のお礼がしたいんです」
「ふっ、二人で!?」
急な先生からの誘いに、わたしはすぐに返事ができなかった。
「あ…ダメですか?」
「い、いえ、そんなことは!!
よ、喜んでっ」
わたしは、首が千切れるのかとないかというくらい、頷いた。
「よかった。じゃあ、明日」
花村先生はぺこりと一礼し、職員室を出ていった。
「やっったぁ!!」
わたしは一人、小さくガッツポーズをした。
「へぇ、憧れの先生とデートね。よかったじゃん」
「うん。ほんとに、夢見てるみたい」
わたしは、親友の美冬に花村先生に誘われたことを話した。
「でも、秋葉…」
美冬は床に視線を落として、口を籠もらせた。
「…うん……わかってる」
「そっか。あ、もうちょっと聞いてたかったけど…ごめん。
旦那が帰ってくるんだ」
美冬は去年結婚した、新妻だ。
「そっか。まぁ、結果はまた今度ね」
「楽しみにしとく」
美冬は、名残惜しそうにその場を去っていった。