しかも、彼の子供は一人ではなく
なんと、男、女、男の三つ子。
花村先生が差し出した紙には、花村先生と、三人の子供の絵が描かれていた。
「沙世が描いてくれたんです」
沙世というのは、三つ子の長女。
その上に、長男、市太くん
次男、双馬くんがいる。
「あーぁ。今日は早めに帰れそうにないなぁ」
「あ、わたしもです」
「一緒ですね」
わたしたちは一緒に採点をした。
二人でやると、終わるのは早かった。
「思ったより早く帰れますね」
そう言いながら、窓の外を見ると
真っ赤な夕焼けが窓越しに広がっていた。
「キレイ!!」
わたしは飛び付くように窓を開けた。
「秋特有ですよね。この空は」
「そうですね…」
秋の空を見ると、人は誰しも切なさを覚える。
誰かが言っていたけれど
確かにそうだ。
ずっとこの空を見ていると
切なくなってくる。
それは、この空のせいなのか
花村先生が隣にいるからなのか。
「……せんせ…」
ふと、花村先生を見ると
夕日に照らされているからなのか
先生の頬は赤く染まっていた。