中神秋葉 24歳。独身。
県立笈川高校に、教師としてやってきて、早1年。
先生たちのなかでも、一番年の若いわたしは
自分で言うのも何だが、生徒達には結構好かれているほう。
「秋葉せんせーお昼食べたぁ?」
「まだだよぉ」
「じゃあうちらと食べん?」
「ごめん!テストの採点が残ってんだぁ…」
「あー、残念……」
「また今度ね」
わたしは、昼食の誘いをしてくれた生徒と別れ、職員室に戻った。
「相変わらず大人気ですね。
中神先生」
「は、花村先生っ、どうもっ」
わたしの隣のデスクで、テストの採点をする数学担当の
花村剛司(ハナムラタケシ)先生。
30歳には見えないルックスと明るさで、生徒から絶大な人気を得ている。
わたしも、そんな彼に淡い恋心を抱いていたり…。
けれど、彼…
少し難点があるんです。
実は彼
「中神先生、見て下さい。これ。
うちの子が描いた絵なんです」
そう。
子持ちなんです。
しかも
バツイチで。