リビングのソファーに、陽菜は照彦と座っていると、しばらくして奥さんが珈琲を持って来た。


『どうぞ…』


「ありがとうございます…」


『はい、約束のもの…。陽菜さん、若く見えるけど、いくつなのかしら?』


「…11才です…」


『そう、あなたが、守ってあげなくちゃね。陽菜さん、泣かせたら、私が許さないからね』


『わかってる。自分から欲しいって思った女は、陽菜が初めてだからな』


えっ?…。
自分から欲しいって思ったのが、私が初めて…。



「ねぇ、あの写真…」


陽菜は目の前の棚に置かれた家族写真を見て、照彦に訊ねた。


その写真には、照彦と奥さんの間にふたりの小さな男の子と女の子がいたから。