車を走らせること15分、アパートの駐車場で車は停まった。


照彦は車から降りて、助手席に回りドアを開け、不安な顔をしている陽菜の手を握った。


『ずっとこうしてるから…俺のそばにいて…』


「…うん。てっちゃんを信じてる」


照彦は、陽菜を安心させる様に、唇に触れるだけのキスを落として、車から降りて部屋に向かった。


部屋の前で一度立ち止まり、手を握り直し、照彦がドアを開けると、目の前のキッチンには、綺麗な女の人がいた。


『…お帰りなさい。あなたが、陽菜さん?』


「はい、初めまして如月陽菜と言います」


『どうぞ…珈琲と紅茶、どちらが良いかしら?』


『陽菜は、アイス珈琲。俺も』


戸惑っていた陽菜の横で、照彦が言って、手を繋いだまま部屋の中に入って行った。



「お邪魔します…」