如月陽菜の両親は、10年前飛行機事故で亡くなっていて、家族と呼べるのは祖父の熊蔵だけだった。

それとまだ一度も会ったことはない兄、誠也―せいや―は、父親と愛人との間に出来た子供。

如月家は、日本だけではなく、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、オーストラリアと幅広くホテルを経営している。

祖父が亡くなったことにより、相続を巡り争いになることが目に見えていた陽菜。

「陽菜ちゃん」

『百合亜―ゆりあ―おば様』

「いくつになったのかしら?」

『14になりました』

「そう、これからのことなんだけど?」

「陽菜のことなら、心配いりません。俺が陽菜を守りますから」

そこに現れたら、照彦が冷たく言いはなった。