―――――ピッ………ピッ…………
規則正しく、何かが聞こえる。
機械の音だということは、なんとなく分かっている。
今、自分が何かに横たわっていることも分かっている。
薄く、目を開けると。
今、見えている物が天井だということも。
けれど、分からないことがある。
何故、私はここにいるのだろう。
ゆっくりと起き上がると辺りを見た。
ここは……病院だよね?
それは分かるけれど。
何故、というか。
そもそも……………―――――
ガラガラ………
急に開けられた扉が私の思考を止めた。
そして、入ってきた男性と、目を見合わせた。
男性は、黒かった。
髪と瞳は、どこまでも深い艷やかな黒。
コートも黒。
パンツも黒。
ブーツも黒。
それでも変に見えないのは、彼がとても、綺麗な人だから。
「み、なつ………?」
「……え…?」
「深懐!!」
そう言って彼は、これまたご丁寧に真っ黒なカバンを、手から滑り落とした。
そんなところに置いたら、次に入ってくる人に蹴られてしまう…なんて思う暇もなく。
とても強い力で抱きしめられた。
状況が全く掴めないまま、されるがままでいると、また扉が開かれた。
ガラガラ………
入ってきたのは、またも男性だった。
「え…………え!?!?」
"黒い彼"とは真逆な彼は、何と言うか眩しかった。
煌めく金髪に、はしばみ色の瞳。
白い肌に、様々なアクセサリー。
"黒い彼"とは違い、服装にそこまでの特徴は無いけれど……
何と言うか……そう、チャラい。
全てが輝かしい人だった。