藤堂さんの胸に顔を埋める形になり、私の鼻腔が藤堂さんの香りでいっぱいになる。


どんなにその腕から離れようと足掻いても藤堂さんの腕の力には敵わない。


「離してください!!もう、私、揶揄われたくありません!!」


狂おしいまでに愛おしい、それでいて恋い焦がれている藤堂さんの腕の中にいるとはわかっていても、二度と藤堂さんに揶揄われるのだけはゴメンだ。


私は渾身の力を振り絞って、藤堂さんの腕を振り払った。


藤堂さんの胸の中らは解放される形とはなったが、藤堂さんは握った両手首を離さない。


ポロポロと零れる大粒の滴は私の頬を伝い、藤堂さんのシャツの袖へと染み込んでいく。