「さよ~なら~。」

「せんせ、さよなら!」


授業も終わりほとんどの生徒が下校した教室、私はまだ帰る気が起こらず、教室の机に突っ伏していた。


「紗愛、帰んぞ!」


一太に声を掛けられても、身体が言う事を利かない。

その気配で一太が真後ろまで来ている事はわかる。

しかし、身体はいっこうに言う事を利く気はない様だ。


そっと肩に置かれた手。


「紗愛、帰ろう。」


一太の手の温もりにようやく止まっていた時間(とき)は流れ出し、私は重い身体を動かし、帰路に着いた。