「藤堂さんっ!!!紗愛に何した?」

「何にも。何にもしてないよ。」

「けど、紗愛、泣いてた。」

「悪いな、一太、今日はもう帰って貰えるか?」

「けどよッ!!」


一太は藤堂に背中を押され、藤堂書店から追い出された。

一太と紗愛の仲睦まじい姿を見ると、どうしても自分を抑えきれなくなる。

一太がここに紗愛を連れてくる事はありがたかった。

こっちから会いに行くわけも行かず、ただ来るのを待つ身。

しかし、一太と紗愛のやり取りは藤堂に取って耐えがたい光景だった。