パンッ!!!


緊張の糸が一気に溶け、さらに自らが淡い期待を抱いた事への失念に、私は思いっ切り藤堂さんの頬を叩いてた。

瞳からは大粒の涙が幾重にも滴り、私の頬を濡らしていく。


どれ程までこの男に恋い焦がれていたか。

夢にまで見る程に恋しくて恋しくて。

それなのに、こんな仕打ちだなんて。


藤堂さんの瞳をギッと睨み、溢れる涙もそのままに私は藤堂書店から走り去った。