後ろ手に自らの体重を支えたため、身動きが取れなくなる。

それなのに、さらにグッと距離を縮められ、意識すら飛びそうになる。


「あ、あの、近いです////」

「わかってるよ。わかっててやってるから。」

「どうしてですか?」

「さぁ?どうしてかな?」


もうこれ以上は持たないとギュッと目を瞑って俯く。

高鳴る心臓の音だけが耳に木霊し、今にも堕ちそうになる。


「揶揄って、ごめんね。」


間延びした、そしてヘラヘラした藤堂さんの声が耳に届いた。