絞り出された言葉はただそれだけ。

藤堂さんが好きで好きで恋い焦がれているというのに、何も出来ない自分が不甲斐ない。

こうやって折角二人きりだと言うのに、藤堂さんから話された内容は他の男の話。


「けど、さっきもここに入って来るまで、ほんとに仲良さ気だったじゃん。」


語尾にハートマークでも付いてるんじゃないかって声で聞いて来る藤堂さんに、ガクリと肩を落とす。


(あー、私の事なんか何とも思ってないんだ。何なら一太と良い仲でそれでここに付いて来てるくらいに思っちゃてるんだ。)


そんな事を考えれば、どうしようもなく胸が熱くなり、瞳に溜まる熱い雫を溢さない様に、ギュッと唇を噛み締めた。