ー絶対絶命。

まさにその状況に私はいる。


ーガタンッ


ひときわ観覧車が揺れたと思ったら、私への圧迫感が急に無くなった。

我妻君の温もりが離れて、急に寒くなる。


「残念、あと少しだったのによ……」


そんな我妻君の呟きが聞こえて、私はゆっくりと目を開ける。

すると、我妻君は私から離れて、口元を片手で覆い、目の前に座っている。

窓の外を見ると、私達は地上へと辿り着こうとしていた。


「気を付けてお降り下さいねー!」

アトラクションのお姉さんが扉を開けてくれる。

先に、我妻君が降りたと思ったら、私を振り返った。


「ほら、手出せ」

「あ、我妻君………」


手を差し出す我妻君に、私は戸惑う。

嬉しすぎて、動けなくなってしまった。


「プッ、もう一周するつもりかよ?」

「し、しないよ!!」


吹き出す我妻君の手を取り、私は観覧車から降りる。

すると、我妻君はポンッと私の頭を撫でた。


わっ……我妻君に頭撫でられた??

驚きで、私は目を見開き、我妻君を見上げた。