「出会えてなかっただけだ……欲しいって思う女に」

「あ、我妻君……」


我妻君の、熱を孕んだ瞳が、胸を焦がす。

ねぇ、我妻。

私は、それを知りたいと思う反面、すごく怖い。

我妻君の想う人が、私じゃない誰かだった時、私はきっと苦しくて死んじゃうよ…。


「ほら、俺は答えたぞ。お前も言えよ、まりあ」

「あっ………」


我妻君は、促すように優しく、私の頬を指で撫でる。

ゾクゾクッと背中から痺れるような感覚が襲った。
  

「い、いるよ……好きな人っ…」


それに抗えず、私はついに言ってしまった。

よりにもよって、好きな人……本人の前で。


キャーッ、言ってしまった!!

我妻君と目合わせられなっ……。


「なぁ、それって……」

我妻君の手が、そっと私の顎を掴んで持ち上げる。

うう、顔見られる!!

それに反抗するように、ギュッと目を閉じた。


「目開けろよ、まりあ。続き、聞かせろよ…」

「ううっ……や、やだっ」   


は、恥ずかしくて燃えて死にそう。

我妻君の吐息が前髪を揺らすから、くすぐったい。
 
我妻君、声低いんだな……とか、考えてる場合じゃなかった!!