真意を知りたくて、私は我妻君を見つめる。

すると、我妻君は少し困ったように笑う。


「教えてやらねぇ、つか俺も今さっき気づいたし」

「??」


我妻君の言っている意味が分からない。

だから、すごく不安になる。

我妻君の事は、何でも知りたい。

何を考えてるのか、好きなモノも嫌いなモノも…。


「おー、そろそろ頂上みてーだぞ」

「え……わぁっ!」


我妻君に言われて、私は窓に手をつき景色を見つめる。

この遊園地の外まで、夕日に照らされた緋色の街並みが見渡せる。

私は、一瞬にしてその美しさに目を奪われた。

どんな宝石よりも、美しいと思える、そのくらいの価値がそこにはあった。


「プッ、お前、本当に高い所好きなのな」

「だって、なにより、景色が最高じゃない?」


笑う我妻君に言い返す余裕もなく、私はただ、その景色に視線を、心を捕らわれる。


「あぁ、あそこにあんな建物あったんだーとか、気づけた時にね……なんか、世界は広かったんだーとか……思っちゃうんだよね」


低い所では見えないモノが、高いところなら色々見える。



そう思うと、今悩んでる自分の悩みは、酷く小さな、ちっぽけなモノのように思えた。