「次は何にしますぅー!?」

「そーだなぁ、コーヒーカップとかか?」

「あぁ、吐き気が……」


愛梨さん、猿君、飯島君が先に歩いていく。

その後を追おうとした我妻君の服の袖を、とっさに掴んだ。


ーグィッ


「どした?」


袖を引いた私に気づいた我妻君が、私を振り返る。

私は、恥ずかしくて俯いたまま顔を上げられない。


「あの……ありがと」

何も言わないでくれて、からかわないでくれてありがとう。

おまけに、自分のせいにまでしてくれた…。 


「なんの事だか、ホラ行くぞまりあサマ」


二ッと優しく笑う我妻君に、目を奪われる。

この人は、今日も優しい。


「わっ、うん……」


我妻君は、私の手首を掴んで引っ張っていく。

そんな我妻君の背中を、なんとも言えない胸のトキメキを抱えながら、見つめるのだった。