「おーう、遅かったな!!」
「猿、お前が言うな、お前が」
迷子の2人は、のんきに私たちに手を振っている。
それに苦笑いをしながら、やっと合流した。
「これは、ぜひとも絶叫迷宮に入るという事で、愛梨はまりあ様と……」
「却下、まりあ様はすでに俺の予約済みだ。他をあたってくれ……」
愛梨さんの言葉に、飯島君はすかさず宣言する。
それに、愛梨さんはむくれた。
「それは絶対に絶対に譲れな…」
「他をっ!!あたってくれっ……!!」
「…………っ」
ものすごい思い詰めたような、あまりにも必死な飯島君の形相に、愛梨さんは言葉を失う。
「あー……ここは諦めろ、な?」
猿君は、愛梨さんの頭をポンッと撫でた。
すると、愛梨さんの顔がポッと赤くなったように見えたけど、気のせい…かな。
「しょ、しょーがないです。飯島先輩、なんか死んじゃいそうな顔してますし」
「んじゃ、俺と、愛梨と清人でいーか!」
猿君の提案に、私たちは頷く。
みんな納得したと思った、その時……。
「意義あり!!」
突然、飯島君が勢いよく挙手した。
たぶん、遊園地に来て、一番強い自己主張だったと思う。