「飯島、動けるか?」

「ああっ、うん、大丈夫」


心配そうに見つめる我妻君に、飯島君は頷く。

どうやら、この遊園地のお化け屋敷である絶叫迷宮での待ち合わせになったらしい。


「じゃあ、絶叫迷宮まで歩くぞ」


我妻君が地図を広げて歩き出す。

私と飯島君は、それに続いた。


「絶叫迷宮って、お化け屋敷だよな……」

またもや青い顔をする飯島君に、私は苦笑いを浮かべる。


「もしかして、飯島君お化けとか苦手?」


……もしかしなくても、そうだと思うけど。

実はというと、私はお化けとか信じないタチなので、全然怖くない。

強いて言うなら、怖いモノといえば、雷くらいだ。


「まりあサマは怖くねーの、お化け」


すると、1歩先を歩く我妻君が、興味ありげに私を振り返る。

ニヤニヤしてるあたりが、どう答えても私をからかう気満々でちょっとムカつく。


「どーせ、怖くないですよー。女の子らしくなくて、ゴメンナサイねー」

「ぶっ、さすが、ミスパーフェクト。期待を裏切らないっつーか、なんつーか」


やっぱり!!

笑われると思った。

我妻君の言うミスパーフェクトは、私をからかう時に言う台詞だって最近気づいた。