ある日の朝。



「大丈夫ですか?」



道端で転んでしまって、恥ずかしすぎて動けなかった私に、茶髪の男の人が声をかけてくれた。



「あ、はい…。ありがとうございます!!」



その人はすごく優しそうで、かっこよくて…。

「怪我とかしてませんか?」



「大丈夫です!!」



私がそう言うと、



「よかった。」



と微笑んでくれた。



早川 希望、高校2年生。



今日、見ず知らずの人に、恋をしてしまいました。
「うぅぅ、寒い…。」



「それくらい頑張りなさいよ!愛しの彼に会うチャンスでしょ!!」



私たちは今、北高の正門に立っている。



なぜこうなったかというと、それは2時間前に遡る…。
ーーーーーーーー2時間前ーーーーーーーーー



「ねぇねぇ、いおりん!!私、好きな人できちゃった!!」



「え…?あの、好きな人ができないことが悩みだったのんが!?」



「うん!!そうなの!!」

この子は、七瀬伊織ちゃん。
ニックネームは、いおりん。
私の、なんでも話せる親友なの!
あ、そして、私はのんって呼ばれてます!!



「へぇー、どんな人?」



「んっとねー、すっごい優しくて、笑顔がステキな人!!」

「なんで好きになったの?」



「えへへ、恥ずかしいんだけどねー、今日の朝、道で転んじゃってー。で、みんな見て見ぬ振りしてくのに、その人だけは、声かけてくれたの。『大丈夫ですか?』って。」



「で、恋に落ちちゃったのね。」



「そう!!」



あの人、かっこよかったなー。
また会いたい!!