弾き飛ばされてもなお、京香が欲しいと思う。

京香の後を追うて社長室から出たら、給湯室から出て来よる京香の後ろ姿が見えた。

颯爽と歩く後ろ姿、靡く髪、どれを取っても俺を虜にしかせーへん。


京香の向かうは商品開発部、どう見てもこの方向はそこしかない。

なんでこないな時に蓮んとこやねん。やっぱり京香は蓮がええのんか。

追い掛けて、部屋に飛び込んで、その理由問質してもよかってんけど、今の俺にそないな勇気があらへんかった。

商品開発部の扉を開けて、京香が蓮に泣き着く姿なんか見たら、一生立ち直られへん気したから。




俺は踵を翻して、そのまま社を後にした。