その頃、行方不明中のシンデレラは──


シンデレラ
「ねぇ、兵士さーん。
私は、一体いつまで
ここにいなきゃいけないのぉ~?」


鉄格子ごしにすがりつき、
見回り中の兵士に尋ねました。


兵士
「さぁな」


兵士はシンデレラの問いに、
そっけなく返しました。


シンデレラ
「さぁなって……まさか、
刑罰が下されるんじゃっ……」


兵士
「そうだなー。島流しか……
下手したら、ギロチンかもなー」


シンデレラ
「ギロ……ちょっと、冗談じゃない!
ただお城をウロウロしてただけじゃない!」


兵士
「ギロチンは冗談だ。
ただ、島流しは覚悟しておきな。
黒づくめ集団の仲間じゃないっていう
証拠がなければな。
じゃあな~」


シンデレラ
「そんなぁ~!ちょっと待ってぇー!」


兵士は、
シンデレラの不安をあおるだけあおって、
無情にも見回りへと戻っていきました。


シンデレラ
「うぅ……確かに仲間じゃない証拠がない。
そしたら私は、このまま島流し……うぅ~」


半泣きのシンデレラは、
服の中からガラスの靴を取り出しました。
捕まった時、
兵士に取り上げられないように
隠し持っていたのです。

それを見て、
王子様のことを思い出しました。


シンデレラ
「……王子様。私、今こんな姿だから、
見てもきっとわからないんだろうな……。

あの時、王子様と一緒にいて楽しかった……。

こんな気持ちになったの、初めてだった……」


シンデレラは今になって、
王子様への気持ちがわかりつつありました。


シンデレラ
「あの優しい王子様の言葉を信じて
正体を明かしておけば、
こんなことにならなかったのにー!
私のバカァ~!
ついでにお腹が空いたよぉ~!
うわぁ~ん!」


あのシンデレラが……
イジメられても泣かなくなった
シンデレラが、
何年かぶりに泣き出しました。