天気予報では曇りの予報だった。

梅雨の時期ということもあり、いつ雨が降ってもおかしくないのに、昼間の天気はめずらしく雲間から太陽がのぞいていて、暑い。

いつもの昼休み、非常階段へ続く扉を開けると、暑いのにもかかわらず、桐島課長は涼しい顔をしながらお茶のペットボトルを飲んでいた。

歓迎会は会社が終わった金曜日の夜、ちょうどボーナスも支給されることもあり、その日に決まった。

「歓迎会、今日だね。楽しみだよ」

お茶のペットボトルを持ったまま、桐島課長は微笑んでいる。

「そういってもらえて嬉しいです」

平静を保つために、こういうしかなかった。

定時を少し回ってから、わたしはお店へいくため、先に会社を出る。

染谷さんはもう少し仕事をしてからいくといい、牧田先輩も原稿をまとめたらいくと話してくれた。

会社の近くの駅から一本はずれた道にある飲み屋街の一角に外装がコンクリートのうちっぱなしに内装は白と青を基調とした洋風居酒屋がある。

金曜ということもあり、普通のテーブル席は満席で、奥にある宴会用の部屋に案内された。

しばらくしてぞろぞろとおじさんや若い男子社員がやってきて、その中に桐島課長の姿もあった。

けれどその隣には染谷さんの姿もあった。

テーブル席での奥に陣取った染谷さんは桐島課長のそばをぴたりとくっついて、キープしている。

しぶしぶ入り口付近に座っていると

「遅くなったわね」

と、牧田先輩は空いていたわたしの隣に座ってきた。

乾杯の音頭をとり、各々で酒を飲み、おいしいご飯に舌鼓をうっているときだった。