早速経理課へ連絡し、元総務課長に相談してみたところ、歓迎会ということで、ウチの課も会社から微々たる費用を出してもらえた。

それを染谷さんへ伝えると以前より増して元気になり、

「新しい課長もきたことだし、歓迎会やりましょー!」

染谷さんが積極的に声をかける。他のおじさん社員も染谷さんの声かけに賛同している。

牧田先輩から桐島課長へ資料と確認用のマニュアル原稿を渡してほしいと頼まれ、桐島課長の席へいった。

「歓迎会やるんだってね」

資料を眺めながら桐島課長は話した。

「え、ええまあ」

「しかも星野くんが幹事やるんだって?」

「なりゆきで。いいだしっぺの染谷さんがやればよかったんですけどね、あれよあれよと決められてしまって」

「そうだったんだね。星野くんから話をくれるとばかり思ってたんだけど」

「えっと、染谷さんは課長の専属係だそうで」

なんでいちいち桐島課長にそんなこといっちゃうんだ、わたしは。

「なにか手伝うことはないかな、っていいたいところだけど、俺の歓迎会だからな」

気づけば資料から目をはずし、わたしをじっと見つめていた。

「た、楽しいんでもらえればそれで」

「しかし、専属か。面白いね。それよりも直々にお願いしないとね。よろしくね、幹事さん」

と桐島課長は、にこっと笑っていた。

ふんわりとやさしく話してくれて胸が張り裂けそうになるけれど、染谷さんのギラギラした視線、牧田先輩の冷ややかな目がある以上、落ち着きをはらった雰囲気で席についた。