食堂でいつもの軽めの定食を頼み、空いているところへ座り、ぼんやりとおかずを咀嚼しながら考える。

意見をいえぬまま、勝手に決められるんだろう。

昔っからそうだ。

学校の決め事だってリーダーにさせられたし、合コンじゃあ大抵幹事的なことをやらされて、いいなって思っていた男の子は結局合コンをやりたいっていっていた女が獲得して付き合って結婚しちゃったんだもんな。

いつも最終的にいいように使われておしまいだ。

今回もそんな風な展開になりたくはないと思っていたんだけど。

このままだと完全に染谷さんが舵を切って桐島課長にアタックし放題なのか。

他の社員としゃべる染谷さん、黙ってスマホを操り、時折同期とみられる隣の女性と話す牧田先輩を横目に食堂から退散した。

いつものように会議室の階にある非常階段の扉を開けると、サアっという音とともに、すでに雨が降り出していた。

桐島課長は水たまりをかわすように踊り場の奥まった場所に座っていた。

「雨降っているのに、今日もいるんですか?」

「この場所、気に入ってるから」

桐島課長はまっすぐな目をぶつけてきた。

ストレートすぎる視線に自分の胸の奥を刺激されたような気がした。

「そう……ですか」

桐島課長のこと考えているのに、当人はのんきでいいなあと桐島課長から遠くの景色に目をうつした。