「今日も一緒に帰っていいか?」


学校についていつも奈々に聞くこと。


「うん。」


何でだかはわからないけど、広瀬はいつも奈々と帰る。


奈々の横にはいつも広瀬。


奈々と一緒に帰るってことは広瀬と一緒に帰れるってこと。


ちょっとでも一緒にいたい。


傍にいたい。


あの目の奥に隠れた痛みを。


悲しみも苦しみも。


辛さも寂しさも。


全部を受けとめられるくらい強くなりたい。


俺が広瀬を守りたい。


格好つけてるように思われるかもしれないけど、それが俺の本心で。


俺が広瀬を見続ける理由。


ま、相手にもされてないのが現実だけど。


そんなことを思いながらふと黒板を見る。


ずらずら書き並べられた数式。


「はぁ…授業長いなぁ…」


授業はまだ3限目。


放課後を思うと長くて長くて思わずため息が漏れた。