「おばあちゃんがね、『つくしはきっと、たった一人に深く深く愛されることになってるんだよ。』って言ってたの。それって涼かな?」
二人、手を繋いで歩く帰り道。
広瀬が俺の顔を覗き込みながら聞いてきた。
「ぜってぇ俺だよ。」
そう言って無邪気に笑うと、彼女も笑ってくれた。
きっと、今までいっぱい泣いてきたんだよな?
苦しみも。
悲しみも。
寂しさも。
辛さも。
痛みも。
きっと俺の倍以上背負ってきたんだよな?
そのすべてを癒すことはできないかもしれない。
これから先、キミを傷つけてしまうこともあるかもしれない。
でも、それでもそこに、愛はあるよ?
そんなこと、今はまだ、わからないかもしれない。
信じてくれないかもしれない。
もしかしたら、一生わかってもらえないかもしれない。
でも、もうそれでもいいかもな。
だって。
ついこの間まで、冷えきっていたキミのその目が。
今はすごく温かく優しいから。
もう、それだけでいっか。
そう思えるよ。
なぁ、お願い。
笑って?
今もずっと変わらない。
俺はそれだけ願ってるから。
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