カサッ


横になると、頭の近くで何か紙にあたった音がして手を伸ばしてみる。


そこには、今朝母さんに渡されたメモ用紙、奈々からの一言のメッセージがあった。


そうだ…


“好きになって良かった”


そう思える恋をしようって決めたんだ。


考える必要なんてないじゃん。


そう思ったら、さっきまでの迷いはすっかり吹き飛んでいて、俺は立ち上がり携帯を手に取った。


プルルー プルルー


ガチャッ


「もしもし?」


呼び出し音が鳴り響き、しばらくすると高い声が耳に届いた。


広瀬のお母さんだろうか?


「あ、あの、つくしサンは…?」


「あぁ、つくしはまだ帰ってきてないんですよ。何してんだか…。後で連絡させます。おなま……」


そこで一方的に電話を切ってしまった。