「私とお姉ちゃんは違うんです。私、愛されてないから。」
広瀬の目から溢れる涙。
それを見つめながら俺はただ立ち尽くしていた。
「小さい頃からそうだった。みんな菜々、菜々って。風邪ひいても、お姉ちゃんのときは仕事休んでまで看病するのに、私にはほっとけば治るって。」
「………」
「愛されたい。ただその一心でいろんなことを頑張った。勉強も運動も。家の手伝いもして、言うことも聞いて。いつもいい子にしてた。でも、一度だって褒めてくれなかった。」
どんどん語られる、広瀬の悲しみや苦しみや。
溢れ出てる涙が語る、辛さや寂しさや。
いろんな想いが伝わってきて。
何もしてやれないのが悔しかった。