その数日後、俺は最悪な噂を耳にする。
「あのさ、どうした?」
同じクラスでバスケ部の中村。
クラスではまぁまぁ仲が良い方で、よく話したりする。
「聞きたい?……実はさ、」
その日、中村の機嫌がやけにいいなと思っていたら、待っていましたと言わんばかりに話しはじめた。
「奈々の妹いんじゃん?あの可愛い子……名前なんだっけ…?」
「つくし。」
「そう、つくしチャン。」
「で、広瀬がどうした?」
「バスケ部に根岸ってヤツいるんだけどさ、ソイツと付き合ってるっぼいんだよね。」
「えっ……」
それ以上声が出なかった。
彼氏…?
広瀬に彼氏…
そんな…
そんな急に何で…
もう何も考えられなかった。
他のことは何も考えられなかったのに、
“失恋か…”
何故かそれだけは冷静に解釈ができていた。