「どうしたの?」


不思議そうに僕の返事を待つ彼女。
鼓動だけが早まって気分が悪くなってきた。


「え、と・・・ふ・・・、」

「ふ?」


「古谷(ふるや)、ひかる・・・」


はあ、何とか言えた・・・
安堵のため息をついたのも束の間。


「そっか、古谷くんよろしく!」


そう言って彼女は小さな手を差し出してきた。
制服のセーターから覗く細い指に思わず胸が高鳴る。


さっきからカラダが異常反応してて
自分自身についていけない。


相変わらず彼女は大きな瞳を輝かせて
僕を見てくる。


「うん、よろしく」


少し汗ばんだ手で彼女の手を握ると
満足したように目を細め彼女は手を振って先に行ってしまった。