文化祭2日目。
昨日はあの後、第2校舎裏のいつもの場所に居た千尋と少し喋った後すぐに帰った。
どうやら千尋は直也に、何でも買って来てやるから此処に居ろ、と言われていつもの場所で待機らしい。
きっとあの場所から動くなって言われてて暇だろうから、今日は千尋の暇つぶし相手にでもなればと朝から学校に来ていた。
その前にちょっとだけ美沙子の様子見て行こうと思い、廊下を歩いていると、
「かーなたっ!捕獲〜♪」
「真純…。何だよ。」
「そーんな嫌そうな顔するなよ!」
そう言いながら俺の事をグイグイと引っ張って歩く燕尾服を着た真純。
そう言えば最近真純と会ってなかったな…。
まぁ、イベントに参加して目立ちたがる真純の事だから準備にも参加していたんだろうけど。
なんつー格好してんだ…。
呆れながら真純のされるがままに歩いていると、自分のクラスに着いた。
「彼方、1回も準備に参加しなかっただろ。」
「面倒くさいし。」
「だから、今日1日くらいは働いてもらうぞ!」
「は?嫌だから。」
そう言って俺は元来た道を引き返そうとする。
しかしガシッと真純に腕を掴まれ、無理矢理教室に連れ込まれる。
そして笑顔で、はいっと服を渡される。
それを俺は無言で真純に突き返す。
「別に接客やらなくていいからさー。」
「それでも無理。」
「これ着て、校舎歩き回ってくれればいいからさー?」
「何度も言わせるな。無理って言」
「美沙子ちゃんに見せてあげたいのになぁ!」
わざとらしく大きな声で言う真純。