なんとか準備は終わらせれたみたいだし、文化祭を楽しんでいるみたいだ。
それにしても、美沙子の浴衣姿…。
正直言うと、凄く可愛い。
紺を基調として大きな金魚が何匹か描かれている。
小さなエプロンを腰につけて、髪はアップにして髪飾りをしている。
だから嫌だったんだ、美沙子の浴衣姿をこんな形で見るのが。
それに、在校生だけでなく他校生もこの姿を見る。
挙げ句の果てにはこれで接客をしているのだと思うと腹が立つ。
「須藤君…?どうかした?」
「いや…。」
「…この間の事、まだ怒ってる?」
不安そうに俺の事を覗く美沙子。
そんな顔をする美沙子も可愛い、なんて到底口には出来ないが心の中で思う。
でもジーッと美沙子の顔を見てみると、凄く疲れている。
「美沙子、疲れてるんじゃないの。」
「え?あー、うん、ちょっとだけ?」
「ちゃんと休んでるの?」
「だ、大丈夫だよ!今日と明日頑張れば終わりだから!」
そう言って美沙子は無理に笑う。
また、大丈夫って…美沙子の悪い口癖だ。
全然大丈夫じゃないくせに。
まぁ俺が何を言っても頑固な美沙子は聞かないから、何も言わない。
でも、心配くらいはさせてほしい。
「無理…しないように。」
「…うん。ありがと!」
「じゃ、頑張って。」
美沙子の頭をポンポンと撫でてその場を後にした。