海辺の近くを途方も無く歩く。
こんなの見つかりっこないよ…。
涙目になりながら歩いていると、後ろから私の名前を呼ぶ声がする。
「美沙子?」
そう、愛おしい声。
聞きたくて聞きたくて仕方がなかった声が私の名前を呼んだ。
バッと後ろを振り向くと驚いた顔をした須藤君が立っていた。
「何で…。」
「須藤君に会いに来たんだよ?」
そう言えば須藤君は少し困った顔をする。
私が困らせている、分かってる、でも今だけは許して。
話をして須藤君が嫌だったり困ったりするなら、もう会わないから。
「話があるの。」
「…俺は、無い。」
「聞いて。聞くだけでいいから。お願い。」
立ち去ろうとする彼の腕を掴み、ジッと須藤君の目を見ながら言う。
すると須藤君は視線を逸らしながら小さな声で、分かった、と言ってくれた。
「私ね、須藤君の事凄く好き。」
逸らした視線を再び私と合わせる須藤君。
今度こそ、私の気持ちを伝えるね。