体育祭から数日後。

私は須藤君のクラスに来ていた。

体育祭の日、赤松千尋に一生会うなと忠告された時は本当にもう会わないでおこうかと1度は考えた。

でも茜君にああゆう風に言ってもらえて嬉しかった。

私と須藤君が喋ってる所を見て幸せそうだって言ってくれた。

その幸せを私はもう1度取り戻したい。

実は昨日、須藤君のお家に行ってみた。

でもチャイムを鳴らしてみても誰も出て来なかったし、人の気配が無かった。

もちろん学校には来てない為、私の手がかりはもう彼らしか居なかった。








「広田君、呼んでもらっていいですか?」

「広田?おーい、広田ー!お客さんー!」

「え?だれだれー?って、美沙子ちゃん。」







明らかに私の顔を見て残念な顔をしたな…。

正直な奴め…!

私は広田君を軽く睨みながら覚悟を決めて口を開く。








「広田君!須藤君の居場所教えて!」

「…彼方?ごめん、おれ知らないんだよねー。」

「ご、誤魔化してもダメだから!」

「いや誤魔化すも何も、本当知らないんだよね。」







知ってたら教えてあげるんだけどねー、とヘラヘラ笑いながら続ける。

…本当に知らなさそう。

広田君が知らないとなると、一条君もきっと知らないんだろうな…。








「連絡は返ってくるんだけど、居場所は絶対に言わなくてさー?」

「そうなんだ…。」

「ナオも知らないし、もう手がかりは1つしかないんだよなー。」

「手がかり⁉︎何っ⁉︎」

「いやぁ、これはちょっとオススメじゃないっていうか…」







私から視線を外して言い淀む広田君に私は段々と腹が立ってくる。

さっさと言いなよ!もったいぶってんのか!

こっちは一時を争ってるんだけど⁉︎

私はキッと広田君を睨む。