体育館前にある自販機に着くとそこには誰も居なかった。

…奏羅、もう戻っちゃったのかな…。

私も早く戻ろう、と自販機にお金を入れスポーツ飲料のボタンを押すとガコンッと飲み物が落ちてきた。

しゃがみ込み、飲み物を取り出そうとした時、体育館の裏の辺りから話し声が聞こえる。

…え?何だろう…こんな人気の無い所で…

そう思いながら物陰に隠れて覗いてみると、そこには奏羅の姿があった。

あれ?奏羅?こんな所で何を…って、あれ?茜君も居る…。

2人が喋ってる所なんて見た事無いな…。

私は気になって物陰で静かに見ていると、







「小鳥遊さんこんな所でどうしたの?」

「いっ!…一条君。あ、シーッ!」

「シーッて、結構大きな声出したの小鳥遊さんだよ?」







不服そうに言う一条君に私は、いいから静かに!と言ってもう1度奏羅達の方向に目を向ける。

すると一条君も気になったのか私と一緒に物陰に隠れて覗く。







「あれ…間宮さんじゃない?」

「そうなの。何話してるのかな…。」

「何って、こんな所で話すなんて、あれしかないよね。」

「…あれ?」







私と一条君は2人に聞こえないようにコソコソと話していたが、一条君は2人が何を話しているのか分かっている様子だ。

何だ…あれって…?

頭にハテナマークを飛ばしながら考えていると、茜君の大きな声が耳に入って来る。








「1年の頃からずっと好きだったんだ。」

「…はぁ。どうも…。」








な、な、何ぃ⁉︎

茜君って、奏羅の事が好きだったの⁉︎

え、じゃぁ、この前言ってた好きな人って奏羅の事⁉︎

言ってくれれば良かったのに!って言ったら私分かりやすいからバレちゃうかぁ…。