俺の事を犯罪者扱いした女の顔を1度拝んでおいてやろうと教室を覗こうとした時、
「じゃぁ小鳥遊さん、楽しみにしてるねー。」
「え…いや、本当に…」
「じゃぁまた明日ねー。」
ガタガタと椅子や机を戻した女達は帰る準備を終え、こちらに向かって来る。
やばい、見つかる…。
そう思い少し行った所の物陰に急いで隠れる。
いや、何で俺隠れてんだよ。
別に見つかったってどうでもいいし、むしろ睨みつけてやれば良いのに…。
そう思いながら隠れて女達が過ぎるのを待っていると大人数の足音と話し声が聞こえてくる。
「ほんっとに分かりやすかったよねー。」
「私ジョーカー持ってますーって顔すんごいしてたもんね。」
「でその割には他の人の顔見ないしさ。」
「そりゃずっと負けるよねー。」
教室まで聞こえてるんじゃないかってくらいの大きな声で言う女達。
負けるって分かってて罰ゲーム言い出したのかよ、はめる気満々じゃねーか。
「でもいい気味だよね、ちょっと間宮さん達と仲良いからってさ。」
「本当に。須藤彼方に1発殴られてこればいいよねー。」
ケラケラと笑いながら去って行く女達を俺は物陰から睨んだ。
ただの僻みかよ。胸糞悪い。
女達が行った後、俺は先程の教室の前に戻り覗く。
そこには大きなため息をついて項垂れている女が1人取り残されていた。
ああ、確か去年同じクラスだった…何だっけ、名前?
あのお嬢様の双子と仲良い…確か…たかなし…
小鳥遊、美沙子?だっけ?