え…?何で…。
何でそんな急に…?
私はか細い声で、どうして、と呟く。
でもその問いに須藤君は何も答えない。
ましてや、私を一切見ようとしない。
何でいつもみたいに真っ直ぐ私の事を見て言ってよ。
ウザいならウザいって、鬱陶しいなら鬱陶しいって。
私が邪魔になった?
私と付き合ってても雨弥や奏羅になかなか近づけないからいらなくなった?
ねぇ、何か言ってくれないと分からないよ…。
「全部知ってた。」
「え?」
「美沙子が俺に近付いた理由、最初から全部知ってた。」
近付いた理由って…罰ゲームの事?
何で、須藤君がその事を知ってるの?
私は、どうして、何で、の言葉しか頭に浮かばない。
何も言えず視線を彷徨わせていると、須藤君は立ち上がり立ち去ろうとする。
「待って!」
「…何。」
咄嗟に私は須藤君の服の裾を掴んで引き止めると、冷たい言葉が返ってくる。
それだけじゃ、分からないよ。
もっとちゃんと理由を言ってくれないと。
私の目を見て言ってよ。
「私、須藤君の事が好きだよ⁉︎」
涙目になりながら必死にそう伝えると、須藤君の肩がピクッと反応する。
その後、私と目を合わせた須藤君は服を掴んでいる手を取ってゆっくりと離した。
そして何も言わずに私の前から立ち去ってしまった。
私は須藤君が行ってしまった後、追う事も出来ずその場に膝から崩れ落ちた。
信じてもらえなかった。
最近は須藤君のマスク下の表情が、須藤君の気持ちが分かるようになってきてた。
でも、分からないよ…。
何で、何で最後に目が合った時。
あんなにも辛そうな顔をして、泣きそうな瞳をしていたのーー?