「でも千尋と真純はやる気満々だよ。」
「赤松君と広田君が?意外だね…。」
「千尋は運動とか体動かすのが好きなだけだし、真純に関しては目立って女にモテようって魂胆だから。」
赤松君の理由は置いておくとして、広田君の理由は何ていうか…納得だ。
あの人、本当にそうゆう事しか考えてないんだな…。
「だから体育祭はサボったら千尋に怒られるんだよ。」
「…そうだったんだ。」
「自分は普段の授業サボってるくせにね。」
そう言ってフッと鼻で笑う須藤君。
こうやって何気ない会話で須藤君の事が分かるのは嬉しい。
これからもっともっと須藤君の事を知っていきたいな…。
「小鳥遊さーん!」
「あ、茜君。おかえり!」
「…ごめん、話し中だった…?」
「ううん、大丈夫。ごめんね、す…どう君…?」
先程まで須藤君がいた方向に顔を向ければもうそこに姿は無くて、スタスタと歩いていく後ろ姿が目に入る。
…どうしたんだろう…何も言わずに行っちゃうなんて。
「本当に大丈夫だった?」
「え?ああ、大丈夫!時間無いし練習しよっか。」
そう言って私は笑顔を貼り付けて二人三脚の準備をする。
もう1度須藤君がいた方向を見てみるが、もうそこには須藤君の後ろ姿も無い。