「「いっち、に、いっち、に」」
暑さも少し弱まった頃、1番熱い行事の日が迫ってきている。
体育祭。
うちの学校は学年ごとにクラス対抗で男女ペアで組んだ二人三脚のリレーがある。
その為この時期は、休み時間や放課後に練習してる人が至る所に居る。
「じゃぁ、ちょっと休憩しよっか!」
「うん、そうだね!」
伊地知 茜(いじち あかね)君、私の二人三脚のパートナー。
サッカー部で運動神経抜群の彼のパートナーに選ばれてしまい、私は足を引っ張らないように練習中だ。
「ごめんね伊地知君、部活休みなのに練習付き合わせちゃって…」
「いやいや、いいよ!おれの方こそ部活があるから全然練習出来なくてごめんな。」
スポーツマン独特の爽やかな雰囲気を纏っている伊地知君は男女共に人気がある。
運動神経が悪くないとは言え、私がこんな人とペアなんて申し訳ない…。
「あ、そうだ。伊地知って言いにくいでしょ?茜って呼んでくれていいから!」
「え?あー、じゃぁ、茜君…で。」
そう呼ぶと茜君は爽やかな笑顔で、うんじゃぁそれで!と言った。
ま、眩しい…笑顔が眩しいぞ…。
そう思い私は視線を背けた方向、第2校舎の2階の廊下を見てみると、そこには須藤君の姿があった。