「はぁ…やっぱりついて行けば良かった…」

「いや、ダメだよ⁉︎奏羅の身に何かあったらどうするの⁉︎」







その大事な大事な顔に傷が付いたりしてお嫁に行けなくなったらどうするの⁉︎

大切なお嬢様に怪我なんてさせたら、私は自害しなければならないのかもしれない!

てかそもそも、私が全部悪いのだ。

あの日、いつも送り迎えがある2人が先に帰った後、クラスの子に誘われてトランプなんてしなければ良かったのだ。

クラスに馴染めるかも!なんて調子に乗った事を考えたのがいけなかったんだ。







「でもさ、須藤くんと初めて喋ったんだよね?」

「う、うん…」

「じゃぁ、明日になったら美沙子ちゃんの事忘れてるんじゃない?」







笑顔で言う雨弥の言葉に、そうだよね⁉︎と大きな声を出した。

確かに、彼とは去年一緒のクラスだったとは言え、いつも授業をサボっている彼が教室に顔を出したのは数えるほど。

その数回でクラスメイトの顔や名前を覚えてるなんてきっとあり得ない。

ましてや私みたいな地味な女が彼の眼中に入るわけなんてないのだ!

そうだそうだ、と自分の中で納得した。

だから、今日あった事は忘れよう。そうしよう。

基本的に彼と会う事なんて滅多にないのだから堂々としてればよいのだ!