な、何でこの人に帰れなんて言われないといけないんだ…!

そう思い、少し涙目になりながらキッと睨むとそれが気に入らなかったのか、あぁ゛?と言って拳を振り上げる。







「千尋!俺の部屋で暴れようとしないでくれるかな。」

「彼方、何だこの女?」

「俺の彼女だよ。」







しんどそうな須藤君はふらふらしながらも立ち上がって真剣な顔で言う。

その言葉に私は照れながらも須藤君近付いて、体を支える。







「あー、こいつか。彼方をたぶらかした女っていうのは。」

「えっ。」

「どんな手を使ったが知らねーが、半端な気持ちで近付いてんじゃねーよ。」







な、何。たぶらかすって…!

私は須藤君の事をたぶらかしてなんかないし!

それに、半端な気持ちって…!

そりゃ確かに最初はマスクの下の素顔の為に近づいたけど、今は違うし!

何も知らないくせに、この人何でこんなに偉そうなのよ。

私は再び赤松千尋をキッと睨み上げ、








「半端な気持ちなんかじゃないから!」








私は大きな声で言ってやった。