こんな事しておいてタダで済むなよ、と言う想いに反して俺のマスクの下は笑っている。
そうだ、こうやって人を殴ったりしてる瞬間が楽しい。
こんなクズ、生きてる価値なんて
「須藤君…!もう…大丈夫だから…」
俺はその声に我に返り、殴る手を止める。
美沙子を見てみれば怯えた目で、今にも泣きそうな顔をしている。
こんな奴よりも俺は先に美沙子を助けなければ…そう思い彼女の元に行き、縛られている紐を解く。
解き終わった後、美沙子が俺に抱きついてくる。
その事に俺は固まったが、よく見てみると美沙子の体が小さく震えている。
そうだよな…怖かったよな…男も、俺も。
俺は安心させる為、彼女の体をギュッと抱きしめ、
「ごめん、もう大丈夫だから。」
そう優しく声を掛けると、彼女は俺の胸元で声を出して泣き始めた。
ごめん、怖い思いさせて…。
俺は彼女が落ち着くまで背中をさすりながら、抱き締めたー。