このままじゃ、その人死んじゃう…!
「須藤君…!もう…大丈夫だから…」
「美沙子…」
私の声で我に返ったように彼は私の元に走って来て縛られていた紐を外してくれた。
手が自由になった私は思いっきり彼に抱きつく。
怖かった…あの男の人も、須藤君も…
でもこの人は私を助けに来てくれたんだ…
「ごめん、もう大丈夫だから。」
そう言って私を抱きしめてくれる須藤君の胸元に顔を埋めて私は声を出して泣いた。
ワンワン泣いている私の背中を優しくさすりながら優しい声で何度も、大丈夫だから、と言ってくれる。
彼の顔を少し見上げて見れば、先程とは違う優しい瞳が私を見ている。
ああ、この私に向けられている優しい声が、優しい瞳が、暖かい温もりが、
私は、須藤君が、好きなんだ---。