「この問題分からないらしいから教えてあげて。」
「え…?」
「ん?どれ?あー、これはね。」
私が指した問題を見て自分より一条君が適任だと思ったのかどの問題かを言って私を任せる彼。
…親切だなぁ。
そう思いながら私は一条君の説明を聞いていた。
さすが学年3位…説明分かりやすいなぁ。
そう思って一条君の説明に相槌を打っていると、肩を掴まれ彼の元に引き寄せられる。
「直也、近い。」
そう言って彼は自分の胸元に私を抱き寄せる。
い、いやいや、ちょっと待って。
近い!一条君より貴方の方が近いよ!
私の顔がみるみる内に熱くなっていく。
その様子を見て一条君はクスッと笑って、ごめんごめんと言った。
他にも雨弥はキラキラした顔、奏羅はイライラした顔、広田君はにやにやしている。
は、恥ずかしい…。
「彼方、そろそろ離してあげなよ。」
「え、ああ、ごめん。」
冷静に淡々とそう言って私の事を解放する。
そして何もなかったかのように彼は勉強に戻る。
な、な、な、何で!
何でそんな平気なの!もしかしてドキドキしてるの私だけ⁉︎
その後、私が勉強に集中出来なかったのは言うまでもないー。