唇が離れた後、ジッとこちらを見た須藤君がぼつりぽつりと口を開く。
「美沙子の教室行った後、ナオに聞きに行ったんだ。」
「一条君に…?」
「多分、ナオと真純なら美沙子が俺を避ける理由知ってると思ったから。」
それで須藤君、私が避けてた大元の話の事知ってたんだ。
それを知ってて私からの連絡を一週間も待ってたんだ…。
私、結構最低な事してる…。
「俺の居ない所でする話じゃないってナオに怒っておいた。」
「いや、一条君は悪くなくて…!」
「分かってる、全部真純が悪いって。」
「広田君のせいでもないっていうか…」
私が広田君の話にホイホイと乗ってしまったから、聞きたくもない須藤君の昔話を引き出してしまったわけで。
悪いのは私なわけで…。
「美沙子も悪い。」
「う、うん…御免なさい…」
「真純の言う事は気にするなって言ったのに。」
「いや、聞き流そうと思ったよ!でも気にしないでおこうと思っても気にしてしまって…」
段々と私の声はもごもごと小さくなっていく。
案外自分が、好きな人の過去の相手を気にするタイプだったんだ、と言う事が分かってしまった。
挙げ句の果てにはその相手と自分を比べるなんて器の小さいこと…。
私は心の中でため息をつく。