ああもう、こうなったらどうにでもなれ。
「家にだって来るのも行くのも嫌そうだし。」
「それは…」
「それに!キスだって…1回しか…まだした事ないのに…」
怒りと悲しみと恥ずかしさで声が小さくなっていく。
そうだ、キスした事あるの両想いになったあの日だけなんだ。
そっか、何で気付かなかったんだろ。
もうそこで私と元カノの差は歴然だったんだ。
須藤君が私を見る時のあの優しい瞳が、愛しいと言っていたのは嘘偽りはないと思う。
でもきっと私は元カノを超えられないんだ…
私は須藤君の顔が見れず、下を向いて泣きそうになるのを堪える。
すると突然私の腕をガシッと掴んで歩き出す須藤君。
「…っえ?須藤君…⁉︎」
「……」
「痛いんだけど…!」
力強く掴まれて引っ張られている状態のため、痛みを訴えるが無言で足早に歩く須藤君。
それに、こっちの方向は私の家じゃないし…
寄り道などしない限りいつもは私の家にすぐ送ってくれる。
でもこの状況で寄り道なんてしないだろうし…
何より、須藤君の雰囲気が怒ってる…
私はもう何も言わず引っ張られるがまま須藤君に着いて行った。
そうして暫くして、着いたのは須藤君のお家だった。
…?何で、須藤君の家…?
私が疑問に思っている間も、ぐいぐいと腕を引っ張られ強制的に家の中に入れられる。
「あの、須藤君…」
「早く靴脱いで。」
「あ、うん…」
流石に急な事に戸惑って、玄関で話しかけたが冷たい声で言われる。
そうして言われるがまま靴を脱ぐと、また腕を引っ張られながら私は須藤君の家に上がる。
須藤君はドスドスと足音立てながら自分の部屋に向かい、ドアを開けて私をベッドに放り投げる様に腕を離す。
バタンと勢いよくドアを閉めた後、マスクを荒々しく取り、ベッドの上に放り投げられた私の上に跨る。